2016年12月05日
注射薬リスクマネジメントシステム 「Secuill:セキル」
病棟、外来に配置している注射薬の保管管理と正確な実施(認証)することを目的に構築された注射薬払出管理システムをご紹介します。
このシステムも従来から発売されていてバージョンアッップを続け実用性がアップしたデバイスで今回は単なる払出管理システムから発展させて電子カルテとのオーダー連携のインターフェースを構築し、セキルでの実施を電子カルテに記録させ、医事算定まで行う運用と医師によるオーダーを受け取り、病棟内にある薬品をセキルで認証後に実施できるシステムまで構築を行いました。
当院のセキル仕様
1.設置場所:急性期4病棟、ICU、透析室、救急室
2.基本運用:患者を選択し、実施者を認証、搭載薬品を取り出す又はバーコード認証して薬品を取り出し実施
1)患者情報は電子カルテ(EG-MAIN-GX:富士通製)の移動情報と連携し該当病棟の患者のみ表示。(転棟、退院情報も連携)
2)実施者承認は静脈認証(バーコード、ICカード等のなりすまし防止)
3)翌日薬剤科から使用薬剤を病棟ごと集計し払い出し、充填。(払い出し、充填時は薬品認証)
3.応用運用1:セキルの実施情報を電子カルテ並びに医事会計システムと連携
1)セキル実施後に該当患者の電子カルテにコスト実施として実施記録を自動記載。従来は実施者が処置記録として入力していたものを自動記載
2)電子カルテにコスト実施と同時に医事会計システムに実施情報を転送し算定。従来は実施者が伝票等で算定情報を医事課に提出していた。
4.応用運用2(現在テスト中):注射オーダーされ、薬剤科で処方監査後に該当病棟のセキルに配置または病棟配置薬としてオーダー薬品がある場合にセキルで認証(患者、実施者、薬品、使用本数)し、処方箋印刷、ラベル印刷を行い病棟の薬剤のみで払い出す運用。現行は夜間/深夜帯で病棟/薬剤科とも人員が少ない条件下でテスト中。
導入して1年が経過し日常運用していての導入効果。
1.病棟配置薬の在庫数が削減できた。使用されると翌日には病棟ごとに使用した薬剤が補充されるため必要以上に在庫を置いておく必要がなくなった。
2.病棟でお伝票の記載、集計、搬送業務がなくなった。病棟で使用される薬品は全てセキルで実施するため(麻薬を除く)煩わしい伝票記載がなくなり、伝票の書き忘れもなくなった。(特に救急室)
3.セキル実施と同時に電子カルテに実施記録が自動入力されるため、電子カルテへの入力業務が軽減された。また誰が、誰に薬品を何本使用したか正確に電子カルテに記録される。
4.薬剤科では特定の時間で締め処理を行い、前日分をまとめて払い出しができるため払い出し業務が軽減された。(従来は1日中伝票が送られてきて、払い出ししていた。現在は1日1回のみ)
5.病棟単位で正確な薬品使用量が把握できるため、薬剤科での在庫定数の削減にも貢献している。
従来は単なる在庫管理システムとして運用されていた機器ですが電子カルテと連動することにより様々の応用が可能となっています。現在は処方オーダー後の実施をセキルに担当する運用をテスト中。いずれは病棟で指示等で使われる薬品(インスリン等)の指示簿オーダーと連携し実施まで認証ができれば更に応用が広がると考えています。このデバイスは単なる在庫管理ではなく電子カルテなどの病院システムと連動し病棟のおける医療スタッフが安心して医薬品を使用できるハブのような役割を担えるようなシステムになってほしいと思います。
(岡谷市民病院 伊藤)
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