病薬ひろば

HP委員ブログ

2017年02月06日
薬剤師専門講座に参加してきました

HP委員会


聖マリアンナ医科大学病院薬剤部の前田幹広先生をお招きして、「敗血症のモニタリング」について症例検討も交えながらご講演いただきました。

 2月6日はブログの日、ということで久々にブログを書こう。

 私は昨日、第32回長野県病院薬剤師会薬剤師専門講座に参加してきました。
 今回は、富士重工業健康保険組合太田記念病院薬剤部の山藤満先生、聖マリアンナ医科大学病院薬剤部の前田幹広先生をお招きして、感染症症例について、薬剤師としてどのように関わり、実践するか、また、最新のエビデンスを臨床現場にどのように活かしていくかなどについて、症例検討も交えてご講演いただきました。詳しい内容・報告は、広報委員会の病薬誌や後日HP上に掲載される活動報告を見ていただきたいと思います。

 午前中は、山藤満先生にご講演いただきました。抗菌薬適正使用のためには「なぜ?」という“気づき”が大切である。但し、気づいただけでは何も変わらず、何らかの行動を起こすことが重要であると述べられていたことが印象的でした。そのお言葉、身に染みます。更に、薬剤師の提案がどんなに優れていても、状況によってはその提案が受け入れられるとは限らない。けれども、提案が受け入れられないこと=失敗ではないから、薬剤師としてできることをコツコツ積み重ねていって下さい。これを聞いて、何だか背中を押していただいた気がしました。
 また、感染症治療において、PBPM(Protocol Based Pharmacotherapy Management;プロトコールに基づく薬物治療管理)をどう展開するかについても述べられていました。PBPMとは聞き慣れない言葉ですが、要するに日本版CDTM(Collaborative Drug Therapy Management;共同薬物治療管理)とのことです。(※巷で流行している、ピ○太郎のPPAPではありません!)海外でのCDTMと薬剤師の役割を説明された上で、PBPMはプロトコール(標準化)と臨床判断(個別化)が併存して機能することで初めて良いアウトカムをもたらすそうです。つまり、プロトコールと臨床判断を、、、ウ~っン!とするのですね…(笑)。

 お昼をはさみ、午後は前田幹広先生に感染症治療において、ガイドラインやエビデンスを実臨床に効果的に活かすスキルを身につけるため、症例検討を踏まえながらご講演いただきました。「ガイドライン=標準治療」という認識だけで薬物治療を評価するのではなく、ガイドライン以外のエビデンスやその周辺の情報(ガイドラインの行間を読む力)、何よりも目の前の患者さんの状態を把握した上で薬物治療を総合的に評価することの重要性を述べられていました。
 また、敗血症の症例検討を通して、ショック病態は高血圧と同じく一般教養であり、臨床薬剤師にとって必要な知識であると教えていただきました。敗血症をモニタリングする際は、感染症治療(抗菌薬)だけでなく、循環動態を含めた全身管理を評価し、診ていくことを忘れないようにというメッセージもいただきました。他にも、qSOFAスコアや敗血症ショックにおける昇圧薬についても改めて学ぶことができて、大変勉強になりました。

 毎年参加させていただく薬剤師専門講座ですが、他病院の同士のみなさんとSGD(スモール・グループ・ディスカッション)でお話しすると、刺激をもらうことができ、明日からの日常業務のモチベーションが高まります。現状に満足せず、常に進化を求めて…、今回学んだことを病棟やチーム医療などで早速行動に移していきたいと思いました。
 そして、薬剤師専門講座を企画・運営して下さいました学術委員会の先生方、毎回そのプロデュース力には脱帽するしかありません。今回も大変お疲れさまでした。

JA長野厚生連 篠ノ井総合病院
田中 宏治

  • 薬剤師専門講座に参加してきました

    午前中の症例検討の様子です。
    今回の薬剤師専門講座も多くの方が参加されました。

  • 薬剤師専門講座に参加してきました

    今回の講座の達成目標は「感染症治療において、ガイドラインやエビデンスを実臨床に効果的に活かすスキルを身につける」でした。
    是非、日常業務へ活かしていきましょう!
    そして、臨床現場に足を運びましょう!