病薬ひろば

HP委員ブログ

2016年05月10日
平成28年熊本地震~長野県医療救護班派遣レポート~県立木曽病院

事務局


阿蘇医療センター

4月14日に発生した「平成28年熊本地震」で被災した皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
4月22日から長野県より医療救護班の派遣が開始され、木曽病院は第2班として出動しました。
現地で活動を行った中島薬剤師より、報告させて頂きます。

『熊本地震派遣報告』
  木曽病院 中島信一

活動期間:平成28年4月25日(月)から4月29日(金)まで
活動場所:阿蘇医療センター

【活動記録】
○事前準備 4/20(水) ~ 4/22(金)
・震災派遣が決定。
・持参する物品は、以前の災害派遣での当院および他院の持参薬リスト等を参考に選定し、その後に派遣医師等との話し合いを行って最終決定した。⇒情報共有をありがとうございました!
 (思っていたよりも準備に時間がかかったので、早めに取り掛かることが望ましいと感じた)
・準備した物品は、4/22午後に福岡市内の運送業者営業所留めで送付した。

○1日目 4/25(月)
・特急、新幹線を利用し、博多へ移動。(約5時間)
・博多で県が手配したレンタカーを借り、予め送付しておいた物品を受け取った後、玉名市の宿泊施設へ移動。(約2時間)

○2日目 4/26(火)
・5:00宿泊施設から阿蘇医療センターに移動。(約1.5時間)
・7:30朝のミーティングに参加。本部の救護班受付業務担当となった。
・広島県救護班から引継。内容は、到着救護班の受付、任務に出発・帰着する救護班の記録、本部記録係への情報伝達、各救護班のシフト作製、蓄積データの電子化など
 (看護師1人は阿蘇医療センター病棟準夜勤業務)
・本日は医薬品の使用なし。
・18:30夕のミーティングに参加し、終了後から受付業務を継続。21:30に活動終了し、玉名市の宿泊施設へ移動。
・宿泊施設へ移動中、車中での体調不良となってしまった。

○3日目 4/27(水)
・5:30頃に宿泊施設を出発、阿蘇医療センターへ移動。(約1.5時間)
 (薬剤師と準夜勤明け看護師は10:00頃出発)
・本日も、本部の救護班受付業務継続。
(看護師1人は阿蘇医療センター病棟日勤業務)
・救護班数は増えるが、活動先の医療ニーズは減少。しかし、看護師の需要は高いままで、看護師はチームを離れ別行動となる場合もあった。
(医師、薬剤師は充足していた)
・午後に秋田県救護班へ業務引継。
・18:30業務終了。阿蘇市の宿泊施設へ移動。(約10分)
・本日も医薬品の使用なし。
  (次班の上田医療センターより、医薬品を借りたいと連絡あり。)

○4日目 4/28(木)
・7:00宿泊施設から阿蘇医療センターに移動。
・7:30業務開始。薬剤師のみ本部の受付業務継続。
  (看護師1人は阿蘇医療センター病棟日勤業務、他員は西原地区で活動)
・受付業務の電子化(救護班の受付、出発、帰着等の記録、シフト表などについて)、マニュアル作成を他班と共同で行った。
・18:30業務終了し、阿蘇市の宿泊施設へ移動。(昨日と別の場所、約15分)
・本日も医薬品の使用なし。
・22:00頃、上田医療センターが宿に到着。引継を行った。

○5日目 4/29(金)
・6:30上田医療センターに医薬品を引き渡し。
  (その後、5/1(日)に使用しなかったため返却しますとの連絡あり)
・宿泊施設からレンタカーで新玉名駅へ移動。(約1.5時間)
  (レンタカーは県職員が博多で返却、持参した物資は博多から当院あてに送付)
・新幹線、特急で木曽福島へ移動。(約6時間)

【今後の課題】
 派遣が決まった際、調剤や医薬品の在庫管理といった薬剤師的な業務を想定していたが、実際は本部の救護班受付という事務的な業務であった。想定と違った事や、他県の救護班との共同作業に対し、不安や緊張が強かった。今後は、どんな業務でも引き受けるくらいの意気込みで、現地入りしたいと思った。
 また、今回の活動で、後続の救護班への引継が非常に重要だと感じた。各救護班は2~3日程度の短期間の活動であることが多く、引継に時間がかかると、大切な活動時間が失われてしまう事になる。今回行った、マニュアル作成やデータの電子化などで、わかりやすい引継を心がける必要があると感じた。
 現地では看護師や放射線技師が不足、医師や薬剤師は充足というように、職種に対してニーズの偏りがあった。前救護班からの情報を活用し、情況に応じた構成員の職種を考慮する必要があると感じた。また、情況によっては不足する職種のカバーのため、一部のメンバーがチームとは別行動になることも考慮しておく必要がある。
 現地で体調を崩してしまい、体調管理が重要と感じた。今回は県が準備した宿泊施設に泊まることができたが、それが確保できず車中泊等の場合はさらに体調管理が難しくなると考えられ、注意が必要と思った。そのため、事前準備や現地での活動中、1人で無理せず、必要に応じて周囲へ協力を求める事も重要だと考えた。
以上、熊本地震派遣報告でした。


 今回の災害支援にあたり、多くの皆さんにご協力いただき、長野県病院薬剤師会メーリングリストなどを通じて、たくさんの情報をシェアすることができました。
 本当に、ありがとうございました。
 私自身は、現地に赴くことなく後方支援という立場での活動でしたが、皆さんからの情報提供があったからこそだと思います。
 この経験を今後に活かすこと、そして更に多くの皆さんへシェアすることが医療人としての社会への貢献につながると思います。今後もこのホームページ、メーリングリストなどを活用して、情報の共有化に努めていきたいと思います。
 会員の皆様で、ホームページ会員登録、メーリングリスト登録がお済みでない方がいらっしゃいましたら、この機会に、ぜひ登録をお願いいたします。

   木曽病院 松原

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