2015年09月18日
新病院の調剤機器 導入編
私の勤務する市立岡谷病院は10月14日に経営母体が同じ岡谷塩嶺病院と統合し新築の岡谷市民病院となります。
この新築移転に伴い、薬剤科内の調剤機器、調剤棚等を一新しました。その中でも私がこだわった4つ+αのデバイスを構築から稼働までご紹介していこうと思います。
1.病棟配置薬管理システム(セキル:ユヤマ製)
従来は病棟の配置薬の管理を行うシステムで病棟で誰が
どの薬を抜き取ることにより払い出した記録ができる
在庫管理システム。薬局の在庫管理システムと連動で
きたが各病棟で使用した薬剤を払い出す機能のみ。
岡谷病院仕様では電子カルテ(EG-MAIN_GX:富士通製)
とオーダー連携を行い、セキルから抜き出し
た薬品を電子カルテ上で実施(コスト伝票)し医事会計
に算定情報を送信できる仕組みを追加しました。
構築時の追加機能として抜き出し時にその薬が処置か投薬
かを選択し算定情報を切り替えるまで進化、最終的にはオーダー情報によるセキル内での認証/実施
まで想定して構築しています。
設置場所は急性期病棟、OP室、透析室、ICU(予定)、救急室
2.散薬調剤ロボット(ディメロ:ユヤマ製)
発生源のオーダーから監査後、薬品の選択/秤量/配分/分割/分包のすべてをロボットが行う分包機。
4月の発表され実機を見ないまま発注してしまった分包機。検証がないため速度、精度など若干不安
なデバイス。病院導入では当院が1号機。処方の65〜70%前後が切り替え可。
3.注射薬払い出しシステム_返品機能付き(ユヤマ製)
注射払出装置は大分前から実用化され動いている施設も多いと思います。注射払出装置と言っても
大半はアンプルのみ払出で完全な払出でないのが課題のシステム。(コストをかければボトル類も
可能)多くはトレイ分割方式で1トレイに4分割の注射を格納できるシステムが主流であるが当院の
場合は病棟が狭く、必要以上に配薬カート(トレイ)を置くスペースが少なくまた原則1患者1ト
レイを基本に設計し、完全施用単位での払い出しを目的としたため払出機構も袋詰め方式を採用し
ています。
注射返品薬自動仕分け機
注射オーダーの変更による大量の返品薬剤を仕分けるのには多くの時間を費やしてきました。本
機によって戻ってきた返品薬を返品用トレーにセットすることによりロボットがアンプルの有効
期限を画像判別し、GS1コードにより薬品を同定して収納し、オーダー情報が発生した際にはア
ンプル払出機から払い出しを行うことができます。
4.持参薬鑑別支援装置(Tab Judge:ユヤマ製)
名前のとおり持参薬をCCDカメラで読み取り、その画像情報の薬品コードをOCR処理し、「形状」
「色調」を解析してMD-Bankに情報をリクエストし薬品判別を行うシステム。単独で使用が標準
システムであるが、電子カルテ(EG-MAIN_GX:富士通製)と連携させ、鑑定結果が持参薬報告書
として電子カルテに作成され、持参薬オーダーが発行できる仕様。持参薬鑑定にかなりの時間を費
やしているがどの程度の成果がでるかが課題。
但し単独で鑑定できるものは一包化された薬品のみ、PTP包装はハンディスキャナーで鑑定。構
築時に課題となっているのが電子カルテの薬品DB(DICS:infocom製)とユヤマDB(MD_Bank)
のDB同士の相関性。
5.その他
抗がん剤調製支援システム(Chemo Road:ユヤマ製)
抗がん剤の調整/監査システム。システム的には新しくないが人員不足のため抗がん剤調整に複数
の薬剤師を当てられない為、遠隔で監査ができるのが魅力。遠隔監査はインターフェイスに手を
加え手双方向通信と遠隔側で調整状況が確認できる仕様に変更。手順(Rp)ごとにシステムの介入が
入るため普通に調整したほうが確実に速いが使用するシリンジ、薬の抜き取り分量、手順もガイド
するので新人も含め慣れていない薬剤師も調整するためリスク軽減にもなる。また今まで手作業だ
った集計作業の効率化にはなる。
ピッキングサポートシステム(HP-PORIMS:ユヤマ製)
内服、注射の取り違いをチェックするシステム。ピッキング端末は従来の動きが遅く緩慢なWindo
-wsCE仕様のPDAからiOSのiPodに端末が変更されデバイスレスポンスが向上した製品。処方情報
と連動しピッキングができる。特に当直時など1人薬剤師での調剤作業には効果的。処方情報と連動
しピッキングができる。病棟での注射実施認証への応用を検討中。
以上の製品を現在構築しています。稼働しましたらまた報告します。
市立岡谷病院 伊藤